整備工場の仕事

①自動車整備士PR冊子について

自動車整備士の仕事と魅力について、わかりやすくまとめたハンドブックができました。
地域の整備工場や自動車整備士養成学校についての紹介も掲載しています。進路の参考などに役立ててください。

自動車整備士ガイドブック

②『車検』『定期点検整備』とは…

  • 車検制度とは?
  • 車検制度とは、その時点でのクルマの安全性の確保および、公害防止を図るためクルマが安全基準に適合しているか否かをテスターや目視などにより一定期間ごとに国が行う検査のことです。
    その時点での検査ですから、次の車検までの安全性が保証されているものではありません。
    通常、車検といえば継続検査を指し、自動車検査証の有効期限が満了した後もそのクルマを使用したい時に受ける検査です。
  • 定期点検整備とは?
  • クルマは使用過程において、時間の経過、走行距離、道路の状態等使用の状況に応じて構造・装置の機能の劣化は進んでいきます。
    これに伴う事故、路上故障等を未然に防止(予防整備)し、安全の確保と公害の防止を図るため、定期的に点検し、必要に応じて整備を行うことですから、一定期間の安全性等を保つものです。
  • 車検制度と定期点検整備のサイクルは?
  • 乗用車の場合、車検のサイクルは2年ごと(初回は3年)で定期点検整備は1年ごとですから、車検時には当然、点検整備が必要なのです。
    1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
    車検 車検(検査) 車検(検査)
    定期点検整備 点検・整備 点検・整備 点検・整備 点検・整備 点検・整備 点検・整備

    したがって、安心してクルマをご利用していただくには「点検+整備+検査」が必要といえます。

  • ユーザー車検や代行車検とはなんですか?
  • ユーザー車検とは、ユーザー自らが運輸支局の車検場にクルマを持ち込み、車検を受けるものです。
    代行車検とはユーザーの皆さんに代わって、代行業者が車検(検査のみ)を受けるものです。
    (※代行車検は、点検・整備つきではありません)ユーザーにクルマの「保守管理責任」があるという観点からも、きちんと点検・整備を実施してから車検を受けることが望ましいといえます。
    点検・整備つきの安心車検は『黄色い看板』の認証整備工場でお願いします!
    なお、認証整備工場では、定期点検を実施したクルマには、点検整備済みの定期点検ステッカーを前面ガラスに貼付しておりますので、引き続き安心してクルマを使用することができます。

 

③整備士の仕事 車検編

安心して自動車を利用し続けるには、車検の際、点検・整備することが必要であることは前段で述べた通りです。
それでは、整備士は実際にどのような作業をしているのでしょうか?

点検・整備・検査の行程を見てみましょう。

【点検】

自動車の各装置72項目を点検します。

■エンジンルーム点検

エンジンルーム点検ここはクルマの心臓部。

エンジンの各装置の他にバッテリなど重要な装置の点検をします。
エンジンルームには、いろいろな装置がたくさんあります。

整備士はそれぞれのはたらきを理解して、その装置にあった的確な点検をします。
まるでお医者さんみたいですね。整備士には知識と経験が必要なんです。

エンジンルーム点検これはスパーク・プラグといってガソリンを燃焼させるために火花を飛ばすものです。

劣化が進むとエンジンがかからなくなったり、調子が悪くなってしまいます。

エンジンから取外し正常か、清掃が必要か、交換しなければならないかを点検します。

エンジンルーム点検これはファン・ベルトといって各装置をベルト駆動で回しているものです。

ベルトはゴム製なので長期間使用しているとベルトに亀裂が入り、やがて切れてしまいます。

また、ベルトが緩んでいると『キーキー』音が発生してしまうので、亀裂・張り点検します。

エンジンルーム点検これはキレイな空気をエンジン内部に送るためのエア・クリーナです。

家電のエアコンや空気清浄機のフィルターと同じはたらきをしています。

エンジンから取外し清掃するだけで済むか交換しなければならないかを点検します。

■室内点検

室内点検運転席のハンドル、ペダル、レバー等の操作具合を点検します。

『走行中にハンドルが右又は左にとられる』
なんてことも車検の際に整備士に相談するといいね。

室内点検

■足廻り点検

足廻り点検自動車の基本操作である『曲がる・止まる』に必要な『かじ取り装置・ブレーキ装置等』についてタイヤを外して点検します。

整備士が最も気を使うブレーキ装置。
ブレーキが摩耗していないか、しっかり点検します。

責任重大ですがやりがいのある仕事です。

■下廻り点検

下廻り点検各部の油脂類の漏れ、連結部の緩み、がた、損傷を点検します。

クルマの下って見たことある?
何もないように思うけど重要な装置が色々ついています。

下廻り点検エンジンの動力をタイヤまで伝える動力伝達装置。

マフラーには有害ガス及び騒音を低減させる装置が取り付けられています。

下廻り点検

【整備】

点検の結果、整備が必要な装置は、お客様に確認した後に予防整備します。
状態によって修理又は交換します。
この時にオイル交換などお客様から依頼された整備も実施します。

■オイル交換

オイル交換クルマにはエンジン・オイルやブレーキ液などその装置に合った様々なオイルが使用されています。

また、エンジン・オイルにもその車種にあったものを選択しなければなりません。

オイル交換

■ブレーキ交換

ブレーキ交換ブレーキ装置にはドラム式ブレーキとディスク式ブレーキの2種類があります。

ドラム式は回転するドラムにブレーキ・シューで押し付けることにより発生する摩擦力で、ディスク式は回転するディスクをブレーキ・パッドで挟み込むことにより発生する摩擦力でクルマを止めます。

ブレーキ・シュー及びブレーキ・パッドは鉄よりも軟らかい材質なので使用過程において摩耗してしまいますので定期的に交換する必要があります。

ブレーキ交換

ブレーキ交換

【検査】

点検、整備をした後、自動車の安全面や公害面が基準に適合しているかどうかを、テスターや目視などによって検査します。
検査は自動車整備工場が運輸支局に持ち込み実施します。(基準に合った設備等を有している整備工場は持ち込まず、運輸支局の検査官と同等の資格を有した自動車検査員が検査を実施します。)

■外廻り検査

外廻り検査ライト類、ワイパー、ウォッシャー、ホーン等の検査をします。

■サイドスリップ検査

サイドスリップ検査前車軸の横滑り量を検査します。

簡単に説明すると前タイヤが『ガニ股』になっているか『内股』になっているかの検査で走行安定性やタイヤの摩耗に影響するものです。

■ブレーキ検査

ブレーキ検査ブレーキのきき具合を検査します。

ただ、効くかだけではなく左右のバランスやブレーキ・ペダルを踏んでいないときに『ひきずり』がないかも検査します。

先ほど整備したブレーキ装置。
検査で合格するのも整備士の技術力だね。

■スピードメータ検査

スピードメータ検査実際の速度とスピードメータが示す速度に誤差がないか検査します。

■ヘッド・ライト検査

ヘッド・ライト検査ヘッド・ライトの光の向きと明るさを検査します。

夜間走行時の視界確保と対向車の交通の妨げにならないように検査します。

■排気ガス検査

排気ガス検査ライト類、大気汚染につながる有害ガスの濃度を検査します。

ガソリン車のCO(一酸化炭素)HC(炭化水素)濃度検査
ジーゼル車の黒煙濃度検査

■下廻り検査

下廻り検査各部の油脂類の漏れ、連結部の緩み、がた、損傷を検査します

すべての検査が合格したら自動車検査証の有効期間が更新されます。

 

④整備士の仕事 不具合整備編

クルマは定期的に点検・整備を行ったとしても不具合を起こしてしまう場合があります。
これを直すのが整備士のダイゴ味!

ここでは、「エンジン不調」という不具合を例にとって見てみましょう。

不具合整備編①はじめにお客様に不具合が発生したときの状況を詳しく確認します。(問診)

整備士 「不調な状態を詳しく教えて頂けますか?」
お客様 「アイドリングが不調で、加速時にパワーが出ないですね」
整備士 「不調になったのはいつごろですか?」
お客様 「昨日の朝からです」
整備士 「調子の良い時もありますか?」
お客様 「常に不調です」

不具合整備編②現象確認、不調の状態を現車で確認します。

不具合整備編不具合整備編③燃料をエンジンに送るポンプや燃料を燃焼させるための火花装置など、基本装置の点検します。

不具合整備編不具合整備編④問診の結果、想定される箇所を1つ1つ点検していきます。電子制御部はテスターや診断機などを活用して点検します。

不具合整備編⑤点検した結果、正常であるかどうかを修理書などで調べます。

⑥エンジンかからないといってもいろいろな原因が考えられますので、すぐには不具合箇所がみつかあないこともあります。とても地道な作業です。こういう経験を重ねることが自分の技術力につながるのです。

不具合整備編不具合整備編⑦不具合箇所発見!!

不具合整備編⑧これは修理できない部品なので新品と交換。

正常に戻った!!
こんな小さな部品1つでエンジンがかからなくなることもあるんだ。

 

⑤整備士の仕事 まとめ

自動車整備士の仕事は、点検・整備・検査などクルマの安全性を維持していくための 『責任のある整備』と不具合整備など不調になったものを直す『高度な診断整備』などがあります。

国家資格は3・2・1級とあり、知識だけではなく実務経験が伴わないと取得できず、特に1級自動車整備士資格は高度な知識と技術が求められます。

『経験』『知識』『国家資格取得』『技術力の向上』につながる、やりがいのある仕事です。